臨床医としてコモンディジーズを含め、様々な病態や疾患に対して適切なプライマリケアができるように、各内科領域における基本姿勢、臨床能力を身につける。
糖尿病・代謝疾患・肥満の管理に対する基本方針を学ぶ。
内分泌疾患の管理に対する基本方針を学ぶ。
神経学的診察手段に習熟するとともに、特殊検査の意義を理解できる。
基本的な治療法の適応を選択し、実施できる。
呼吸器は常に大気と接触しており、体外に存在する病原体、種々の抗原、あるいはタバコの煙をはじめとする有害粉塵・有害気体の脅威に曝されている。したがって、呼吸器では絶え間なくこれらの外敵に対する防御反応、すなわち免疫反応が活発に展開されている。これらの防御機能が破綻すれば、感染症を発症し、また悪性腫瘍が増殖する原因となる。一方、免疫反応が過剰に起これば気管支喘息などのアレルギー性疾患や、過敏性肺臓炎などの免疫機序性疾患を来す。種々の膠原病に呼吸器病変(膠原病肺)が高頻度に合併することもよく知られている。
このように、呼吸器を対象臓器とした研修は内科分野の中でも感染症、悪性腫瘍、アレルギー性疾患を診療する頻度が高く、抗菌薬や抗腫瘍薬、ステロイド薬の使用を習熟するのに適しており、将来内科を専攻しない研修医にとっても必要不可欠な普遍的知識を得ることができる。
また、周知のように本邦は先進諸国の中できわだって喫煙率の高い国であり、肺癌が悪性腫瘍の死亡率の第1位を占め、しかも年々増加を続けている。残念ながら、肺癌の予後はいまだ不良であり、診断時からbest supportive careを選択するしかないケースが少なくない。したがって、呼吸器研修においてはターミナル・ケアも重要な課題となる。予後の限られた患者さんに敬虔な気持ちで接し、患者さんに何がしてあげられるか、真摯に考えて取り組む態度を身につけて欲しい。
なお、当科はアレルギー診療では全国でも有数の施設であり、気管支喘息の患者さんが非常に多い。短期間の研修であっても、この疾患がいかにバラエティに富む病態であるか知ってもらうことができるであろう。気管支喘息は急患室で遭遇することの非常に多い病態であり、救急医療を学ぶ上でも当科研修は有用である。
また、最近マスコミで注目されているが実際に診療している施設は少ない睡眠時無呼吸症候群にも取り組んでおり、この病態を学ぶチャンスも得られる。伝統的に膠原病の患者さんも多く、膠原病の診断と治療も研修できる。
当科には日本呼吸器学会、日本アレルギー学会、日本呼吸器内視鏡学会の指導医が常勤しており、それぞれの専門教育施設に認定され、研修の指導に当たっている。また、日本感染症学会(2007年より専門教育施設制度施行予定)の 専門医・指導医、Infection Control Doctor (ICD) も常勤で指導に当たっている。